アンナ・カレーニナ

先日、八丁座にて待望のトルストイ原作「アンナ・カレーニナ」を観てきました。あんな大作をたった2時間あまりに凝縮するとは、どんな力技が待っているのだろう?と疑心暗鬼になりながらの鑑賞でしたが、思いのほか、素晴らしかったです。帝政ロシア末期のロシア宮廷の雰囲気やペテルスブルク郊外の森や湖といった自然も、豪華絢爛な衣装とともによく表現されており、うっとりするようなきらびやかさでした。時間の制約もあるので、魅力的な端役たちはほんの香りを振りまく程度で、思い切ってふたりの関係に焦点をしぼった結果、映画全体にテンポが生まれ、ここぞというときはしっかり見せるメリハリのある展開で、十分に楽しませてもらいました。映画では劇中劇の要素も取り入れ、少し前に上映された「レ・ミゼラブル」のフィーリング(もちろんあれほど完全なミュージカル仕立てではありませんが)も少し漂わせつつ・・・。

それにしてもジュード・ローの醸し出す男の色気ときたら鮪の大トロのよう。加えて、かつては海賊の子娘役が似合っていたキーラ・ナイトレイの女性としての円熟。ふたりとも人生一番の輝きかと思わせるオーラが出ていました。ロシアと人生の夏は短い。今が旬のこのふたりのキャスティングの妙につきる映画でした。

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