ポール・マッカートニー Out There Japan Tour ②

公演当日、御年71歳になるポールですから、その御姿と生声を直接体験できればもう十分で、かつての声が出てなかろうが、キーが落ちていようが、音楽的にどうこう言うことはすまいという気分で、午後からの診療を休診にし、福岡へ駆けつけました。

同じく大分から駆けつけた友人と合流して会場には6時ぐらいになんとか到着したものの、まあすごい大勢の人。それとやはりというべきか、年齢層が高い。この群衆のなかではわたしなど若輩もいいところです。60歳を軽く超えて、30代ぐらいの息子夫婦?と来ているだろう団体家族もちらほら。行列に並びなんとか公演記念グッズを購入した後、またまた行列に並んでやっと無事入場。待つこと30分あまり。7時開演予定でしたが、15分ほど遅れてついに御大が登場。

「こん・ばん・は!フ・ク・オ・カ」のあいさつとともに一曲めの「エイト・デイズ・ア・ウィーク」が始まりました。いま自分がひとりのビートルと同じ空間にいるんだという感覚をなんとかこころと体の記憶に残そうというすっかり中年になった、ひとりの元音楽少年がそこにいました。

しかし、3曲目の「オール・マイ・ラビング」で理性はふっとびます。会場に大音響で聞こえる歌声は、かつて何百回も聴いた、あの名曲そのものだったのです。ビートルズがこんな大空間に割れんばかりに大音響で流れていること自体初めての体験なわけで、しかも生歌なのですから、近ごろ感受性が枯渇しつつある元少年のおじさんでさえ、一年に一度あるかないかの体の震えがぶるぶるとやってまいりました。それはこの曲の間じゅう止まらず、もう理屈もへったくれもなく、その後は一晩の夢のひと時に埋没する昔少年=今おやじが福岡ドームの片隅に心を震わせながらいるのみでした。

最後のアビーロードメドレーまでなんと合計37曲。ほぼ2時間半ノンストップで歌い切ってくれました。キーも落とさず、絹の声も変わらずのポールは最後に「SEE YOU NEXT TIME」とマイクに向かって語り、ステージから去っていきました。これは「これからもまだまだ頑張って、また来日するよ」という意志の表明であってほしいと心底思いました。

生ビートル体験は、この夜が初めてであると同時に、今生の別れと覚悟していたわたしは「71歳のポールに負けずに頑張らないとな~。もしまた来日してくれたら、絶対に行こう」という思いを新たにしました。

そして、かつてレコードで聞くだけだった歴史的楽曲が、いまも生きているのだということも確認。ビートルズ時代の曲もいいけれど、ウィングスやソロ時代もライブで聴くとこれまた素晴らしく、ポールの存在って、モーツアルトと同じレベルの人類へのギフトであり、ビートルズ時代はもちろん、ソロ時代も含めて、彼の普遍的メロディは現代においては唯一無二であり、その素晴らしさは思想や行動の一貫性とかロックとかポップスうんぬんを遥かに超えて、純粋な音楽として、もっと評価されるべきで、いまも現役で新譜さえ出してくれている彼と同時代に生きていることのありがたみをもっと感じなければいけないなと思ったりしました。なので、さっそく広島に帰ったら、ポールとジョンのソロ時代のアフタービートルズの傑作セレクトCDを作って、クリニックの待合で流そうと決意しながら、すぐ翌朝に控える診療に備え、あまり深酒せず床についた福岡にての夢の夜でした。

 

P.S. アフタービートルCDはクリニックで流すという前提だけにかなり厳選(名曲だけれど、やや激しい「ジェット」や「ゲッティング・クローサー」「ロック・ショー」のような楽曲は泣く泣く落選)したにもかかわらず、あれよあれよという間に80分ディスクが3枚もできてしまいました。すでに待合でかけているビートルズCD(こちらもクリニックの待合時間を潤すべく違和感ないよう選びに選んだセレクト盤)の2枚を超えてしまいました。活動期間からすれば、ジョンはともかく、ポールはビートルズ活動時間の4倍のソロ活動なわけで、これもさもありなんです。なのでちょっとポール寄りのソロビートルズCDになっていますが、最近、来院患者さんの増加に伴い診察待ち時間が長くなりつつあり(特に新患の方に対しては、再診予約の方を優先に診察しております手前、待ち時間が1時間を超えることが多くなっており、たいへん申し訳なく思っています)、さえない待ち時間が少しでも快適になれば本望です。

 

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コメント: 2
  • #1

    narata (火曜日, 03 12月 2013 16:04)

    佐藤先生…いいな~うらやましいです。素敵な時間を過ごされて…

  • #2

    てつ (水曜日, 04 12月 2013 08:44)

    ポールの名曲群に圧倒された一夜だったね。
    中には発表されてから40年以上経過し、色々なところで消費されまくっている曲もあるのに、ポールはキーも変えず、アレンジもほとんど変えずに歌い切った。それらの曲が永久に歌い継がれていくものであることを、作曲者ポール自身の渾身のヴォ―カリゼーションで証明したんだと思う。