あっぱれ!テニスボーイ!

やりましたね。日本時間10月9日(日)の深夜11時からロンドンで行われたATPワールドツアーファイナル(その年の世界の8強しか出れない栄誉ある大会です)において、昨年ウィンブルドンの覇者で地元のマレーにストレート勝ち。運よく弟からBS朝日で生中継があることを教えてもらったわたしはふとんからはい出し、この生中継を見守りました。滑り出しは長身のマレーの繰り出す角度のあるサービスや緩急をつけたストロークに押されっぱなしで、ブレークも先に与えてしまったものの、セットの後半からはブレークを仕返し、タイブレークに入る間際のゲームで相手が緊張で縛られるなか、鮮やかにうっちゃるというここ最近のお家芸で2セット奪い取りストレート勝ち。これは全米オープンの準々決勝ワウリンカ戦でも見せたプレイです。このゲームも力的にはワウリンカに最後まで圧倒されて勝てる気がしない展開でしたが、最後にうっちゃりました。錦織の精神力にはほんとにあっぱれの一言です。錦織だって当然セットの大詰で緊張やプレッシャーは計り知れないものがあるはずですから。もちろんそこまでもっていくテニスの技術や体力があるわけで、精神力だけではここまではできません。

かつてわたしの子ども時分に「テニスボーイ」という少年ジャンプで連載された漫画がありました。中学生ぐらいの主人公はアメリカのテニスアカデミーに留学してそこで成長し、プロテニスプレーヤーになっていくという物語でしたが、錦織は「テニスボーイ」のようにアメリカのテニスアカデミーを入りそこでのし上がりプロ選手になったどころか、漫画でも想定していなかった先の世界の頂上にまで足を踏み入れつつあるわけです。彼はいまも成長中でもありこれから彼を応援することはわれわれ日本のファンにとってはとても幸せなことです。かつて三浦カズがブラジルから凱旋したときには、「ああキャプテン翼を地で行く選手がついに出たのだ」と感慨にふけったものですが、残念ながらその後のカズは漫画の世界を凌駕するまでには至りませんでした。しかし錦織はほんとに漫画というフィクションを超えた世界を実現しそうな勢いなのです。ほんとにすごいことです。

そして今夜は、あの世界に君臨し今も世界ランキング2位を保持しているフェデラーとの対戦です。これはもう観るしかありませんね。