アオハライド

先日、本作をT-Joy東広島のメンズデイにて診療終了後急ぎ鑑賞してきました。(いつも思うことですが、クリニックから車で10分かからないところに本館があることは運命的であり、ほんとにありがたいことだと思います。)

本作は正直に申しますと、積極的に観たいというよりは、ちょうど当夜の診療の終わった7時過ぎからの上映開始作品がこれだけだったという感じでなんとなくチケットを買いました。

最近シネコンでは必ず一作はつねに上映中である、青春恋愛映画。青春をアオハルと読み、それに乗るという造語「アオハライド」・・・。原作のコミックはなんと累計700万部を売り上げた大人気コミックとか。漫画好きのわたしとしては少女マンガながらもまったく未知であることが恥ずかしく、ここはなんとか映画にて「アオハライド」なる世界を堪能しようと考えての鑑賞となりました。

当夜は封切間もなくのため、大スクリーンの6番シアター。観客はほとんどが若い男女のカップル、もしくは女の子のカップル?の二人連ればかりがそこかしこに点在するという状況でした。そこにひとり鑑賞する中年おやじ・・・。まわりのカップルたちからはあの人はいったい??・・なんて思われたりしていたかもしれません。はっきり言ってわたしもこうした青春映画をひとり観にいくことは照れるというか、抵抗があります。(抵抗がなければないでこれもまた怪しいといわれそうですが)

それでも日々の診療のなかで、10代の思春期の子たちと接する機会が毎日のようにあり、彼らのなかで700万部もの大ヒットするコンテンツとはいったいなんだろう?という好奇心がつねにわたしの内部にはあり、抵抗ありながらもこの手の青春恋愛映画修行をしている自分がいて、こうした文章を書いている自分がいるのが不思議な今日この頃です。

考えてみれば、本作の三木孝浩監督は今までまったく意識したことがなかったのですが、「ソラニン」「僕等がいた」「ホットロード」と意外にも代表作はすべて映画館で観させてもらっており、本作ははや4作めの鑑賞となります。(脚本の吉田智子さんとの青春共作3部作も本作ですべて観た?ということになります)

今まで監督のことを意識していなかったのに我ながら不思議と思い、三木監督のプロフィールを調べてみると、もともとソニーミュージックの社員で音楽プロモのビデオ作りで頭角を現した逸材だとか。なるほど~監督のことをまったく意識しなかった「ソラニン」などはまさにミュージッククリップの延長のような作りでそのフィーリングがわたしも当時気に入り、いまもいい作品だったという記憶があります。その印象は偶然にもそれほど気が進まなかった以後の作品も鑑賞するという運命(ちょっと大げさです)を導いたのかもしれませんね。これからはもう少し三木孝浩監督のことを意識しようと思います。

さて内容ですが、まさに青春まっしぐらという作品でした。素朴で明るい主人公に、影に深い傷を隠し持つ彼。そのおかげで主人公・双葉を好きでありながら、恋愛に踏み込めないというジレンマな彼。いったいどんな傷が彼に隠されているの?と考えるうちに物語は容赦なく進行していきます。まさに青春物語の王道です。でも本作は恋愛ばかりではなく、やはり青春ということで、結構男女を超えた友情も前面に出され、「青春というのは失敗だらけだけれど、かけがえのないライブ体験なのだ・・」ということを観るものに訴える作品となっていました。キラキラした時間と空と光がまぶしい映像と物語で、おやじの心はそのまぶしさに溶けてしまいそうになりました(笑)。でも監督の4作品のなかでやはりベストを挙げるなら「ソラニン」かな~。これはかなり音楽(アジカンのR&Rチューン)と青春の無謀さやせつなさ、儚さが青い空の下、溶け合うロック映画となっていましたから。書いていていま気づいたのですが、三木監督は、映像的に青い空が好きな監督ですね。空の青にはかなりのこだわりと入れ込みがあると見ました(笑)。

この作品での楽しみをもうひとつあげるとしたら、本作に出演した若手俳優のその後の成長ではないでしょうか。主演の本田翼、相手役の東出昌大、恋敵役の藤本泉、吉沢亮、高畑充希、千葉雄大、新川優愛、小柳友(彼はなんと主役の兄役の先生を演じながら、実年齢は高校生役の東出くんと同じ年なのにはびっくりしました)らは将来どのように大きく成長していくかを見ていくのが今後の楽しみになりそうです。

 

P.S.余談ですが、青春映画が好きな方で傑作を探している方におすすめを。岩井俊二監督の「リリー・シュシュのすべて」です。これは恋愛要素は少ないですが、間違いなく怖いぐらいにリアルな青春映画の傑作。音楽も映像も物語、即興性も素晴らしく三拍子も四拍子も揃った作品です。青春映画というジャンルを超えた邦画の傑作だと自信をもっておすすめします。いまやすっかり大物女優になった蒼井優の映画デビュー作でもあります。まだ観たことのない方は年末年始にもし時間をもてあましたら、TSUTAYAへGOです(笑)。

 

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コメント: 1
  • #1

    eri.n (土曜日, 27 12月 2014 23:13)

    ベストワンのご回答大変ありがとうございました。eri.nは、「グランドブダペストホテル」「利休にたずねよ」でございます。今年は、いつになくたくさん映画を見たような気がします。(暇なのでしょうね~)院長先生、今年も残すところ…です。大変お世話になりありがとうございました。来年も、どうぞよろしくお願いいたします。「酔い?おとしを…」でございます。