2014年のJリーグ

年の瀬になり、今年のJリーグも決着しましたね。なんとまさかのガンバ大阪、Jリーグ復帰初年度にいきなりタイトル3冠の偉業。ナビスコカップ、Jリーグ、天皇杯の完全制覇。これには思わずうなりました。わがサンフレッチェのJリーグ3連覇がかなわなかったことなど広島以外ではだれも気にせず、ただただガンバの偉業が讃えられていました。すごい。脱帽です。まいりました。おめでとうございます。

この偉業の影に涙をのんだのが、毎度のことながら浦和レッズ。2007年の終盤の失速以来、またまた終盤の大失速の2位。最後の3試合は1試合でも勝てば優勝という状態で、すべて逃してしまいました。もはやこれは伝統となりつつある印象さえします。

ところで広島人にとっては、浦和レッズに対してはどうしても複雑な思いが交錯します。なぜなら現浦和のスターティングラインナップの11人のうち、5人はほんのつい最近までサンフレッチェの主力だった選手なのです。柏木陽介、槙野智章、森脇良太、李忠成、西川周作・・・。ペトロビッチ監督も前サンフレッチェ監督ですから、監督も含めれば12人のうち、半分の6人が広島の主力をはっていた選手がいまは浦和の戦力の主力になっているわけです。

加えて先日、なんと今シーズン、FW佐藤とツートップをはった石原直樹までもが浦和に移籍することになったとの報道・・・。非情の移籍ライセンス・・。

はっきり言って浦和は完全にサンフレッチェサッカーの方向性と選手育成の正しさを認め、その上澄みをかすめ取ろうという方針にあるのかもしれません。それはそれでサンフレッチェにとっては光栄なことであり、胸を張ればいいのかもしれませんが、サポーターからみればたまりません。お金にものを言わせた露骨なまでの選手の引き抜きとも見えてしまうわけです。一時期のカープと阪神の関係に近い印象さえします。(ということはいつか槙野や森脇も落ちぶれて帰ってくることがあるかも・・・)

浦和も浦和で、興梠選手、阿部選手もそうですが、かつてライバルチームで活躍した選手が目白押しです。このようにほとんどかつてのライバルチームの主力によって、チームを構成し、ほとんど自前で育てていない選手ばかりのチーム編成で満足なのでしょうか?浦和サポーターも複雑な心境なのでは・・なんて考えてしまいます。

一方で、世界においてはかつてFCバルセロナの英雄だったフィーゴが、宿敵レアル・マドリッドへ自ら移籍したというケースもあり、お金でチームを作っていくことは驚くことではないのかもしれません。銀河系軍団とかつて呼ばれたレアル・マドリッドなんてそうでなければほとんどチームとして成り立たないでしょうし、バルセロナだって似たり寄ったりです。もしや浦和は日本が誇れるワールドクラスのクラブチームといえるのかもしれません。Jリーグは国際基準にならい移籍規定を作っているわけで、こうした移籍劇は必然的なものであり、わたしのこうした感傷は日本人的なローカリズム偏重のもので、所詮グローバリズムへの心情的抵抗のひとつなのかもしれません。

それらがわかっていても浦和によるサンフレッチェを標的にした人材獲得は露骨であり、なんだかな~と広島サポーターは感じてしまいます。なので浦和が優勝して、かつて応援した森脇や槙野が満面に喜ぶ姿を見たくなかったわたしなどは、申し訳ないですが、最後はガンバを応援し、浦和の失速には胸をなでおろしたりしました。

しかしよくよく考えてみれば、すべての富が人口の多い都会チーム(読売や阪神のことです)に集中する不公平な構造のプロ野球と違い、Jリーグの場合はある程度リーグからの分配金は公平に配られ各チームの経済的基盤は保障されているはずで、浦和レッズがこれほどまでに選手獲得資金がある金満球団であることの裏には、日本一熱い浦和サポーターが豊富に試合に足を運んだり、グッズを購入したりした結果、チームの財源になっているという事実があるのです。

なのでわれわれももっとサンフレッチェの試合に足を運び、チームにお金を落とし、さらにサンフレッチェを金銭的にサポートしている地元企業(エディオンやマツダなど)も応援すべきなのでしょうが、それでも広島サポーターからみると浦和の広島への選手引き抜きの動きは露骨で、もうそろそろ勘弁してもらえないかな~なんて思っている今日このごろです。わたしも忙しい診療の日々ですが、来年は少しでも時間に余裕があればスタンドに足を運ぼうと思います。