黒衣の刺客

年末の暮れなずむ夕暮れ時に本作をサロンシネマ1にて修行してきました。カンヌ国際映画祭監督賞受賞・・・。ふむふむ・・これは観ておかないと思い、映画館に入りました。

 

物語は刺客として育てられた女性が成長し、かつての許婚であった暴君である、その土地の統治者を暗殺に行くものの、情にほだされトドメをさせない・・・といった葛藤を描いたシンプルなものでした。少し、「あずみ」という小山ゆうの傑作漫画を思わせるプロットです。

 

本作はそうしたありふれた物語よりも登場人物の心の動きと身体の動きを静と動というコントラストのなか、あくまでも映像という手段で魅せきろうとした監督の意欲に圧倒される作品でした。

しかし、本作は映像美はあるものの、作品構成そのものが見せ場をつくらず、あえて全体の統一感を映画として提示した、貴重な宝石のような作品といえ、よほどの映画ファンでないと受け入れにくい作品だと感じたのはわたしだけでしょうか? まさにコーエン兄弟をはじめとした審査員が監督賞に選ぶ映画通好みの作品でした。