青空エール

本作を秋の気配を感じる涼しい夜にT-JOY東広島にて鑑賞してきました。思えば、三木孝弘監督の作品はこのブログでもとりあげた「ソラニン」「僕等がいた」「ホットロード」「アオハライド」など結構観ております。狙ってみたわけではなく、ちょうど仕事が終わった後のタイミングと上映開始時間がマッチしており、気づけばまるでおっかけのような鑑賞ペースであります。

 

その独特な、まさに青春を表現したようなさわやかな青色、穢れをしらないような登場人物たちの透過性の高い肌色、澄み切った青空のような空気感は三木監督独自のものであり、わたしなどはいい年して、結構素敵にそれらを感じ、好きでもあります。

 

物語はまるで「タッチ」の南がブラスバンドにはまったような、堂々青春物語ど真ん中であり、わたしがごちゃごちゃ語ることは野暮だと感じる展開のため、愚鈍なコメントは差し控えます。

 

興味深く感じたのは、三木監督が映像に目覚めたきっかけは小学校のころに観た、大林宣之監督「時をかける少女」であったとか。わたしも実は、高校のときに同作を体験(当時は薬師丸ひろ子主演「探偵物語」と二本立てだったのが時代を感じさせます)し、同様にいたく感動したものです。

 

その後のわたしは大林監督、主演の原田知世さんのファンになったぐらいだったのですが、三木監督は同じ作品で映画監督にまでなったのですから、志および才能の違いを痛感してしまいます。

 

いずれにせよ、同作のせつなさと淡い映像のマジックはまだ青白く若かったわたしのこころにも十分に突き刺さるものであり、その後こうしたブログを書く程度の映画好きになるきっかけを作ってくれた作品であり、その作品に同じくこころを動かされた三木監督の作品にもそのせつなく淡い世界は反映されているわけであり、三木監督の作品を鑑賞するたびに、なんだか懐かしく、少しくすぐったく、それでいてサイダーのような清涼感を感じるのかもしれません。

 

万人にすすめられる作品ではありませんが、十代のころのひたむきさやせつなさや青空や音楽、スポーツが好きな人なら、観ても損のない作品だと思います。