ミュージアム

慌ただしい年の瀬、そろそろ終映間近の本作をT-Joy東広島にて修行してきました。

 

秋頃から始まった予告編がおどろおどろしてグロテスクさが強烈なインパクトがあり、ぞくぞくするような恐怖や魔性を感じさせてくれる映画なのだろうなと感じ、チャンスがあれば修行しなければならないと思っていた作品です。

 

案の定、物語のなかでは、主人公のカエル男のマスク姿と身のこなしがたいそう不気味で、殺人アーティストを気取りながら、次々の残酷な殺人を繰り返していきます。それを追うはずの小栗旬演ずる刑事・澤村(焦燥感と正義感が交錯する表情が素晴らしかったです)が逆にカエル男に追い詰められていくありさまはスリル満点で、10代のころにこれを観ていたら、びびって逃げ出したくなるほどの迫力でした。映像そのものが終始痛快で歯切れがよく、テンポもよく、映画館の暗闇のなかで、適度なスリルとスピード感を感じながら、痛快グロテスク物語として胆嚢させていただきました。

 

しかし、物語の内容自体にはちょっぴり違和感を感じました。カエル男の幼少時の心的外傷体験は壮絶なものであったことは理解できるのですが、殺人の標的となった人々にはそれぞれ落ち度があるものの、直接カエル男とはなんのかかわりもなく、殺されるほどの罪ではなく、いわば八つ当たりの世界であり、犯行の動機とその結果に物語的には矛盾とずれを生じており、それらの整合性がもう少しあれば、もっと素晴らしい作品になったのでは?・・・なんて小難しいことを考えたりしましたが、こうした映画にそこまで求める事自体ナンセンスという意見もありそうで、ここら辺は観るものの価値観次第かもしれず、「孤独な観客」のわたしとしては、いつかどなたかと議論を交わしたいものです。

 

物語の構成自体は子供のころに親しんだ江戸川乱歩的な世界であり、最後の対決の舞台となった西洋館などはまさに乱歩的世界であり、いやはや懐かしさを覚えてしまいました。さきほど原作そのものについて、やや苦言のような物言いを呈してしまいましたが、映画自体は魅力にあふれたものに仕上がっており、素晴らしい監督の力技だと思いました。大友啓史監督にはぜひ今後、江戸川乱歩の「孤島の鬼」とか、横溝正史の「真珠郎」などグロテスクで怪しい原作の映画化に取り組んで欲しいな~なんてことを考えながら、師走の夜の帰路に着きました。

 

P.S. 本作の迫力満点のカエル男を演じたのはなんと妻夫木聡くんだったことにはまったく気が付かず、本作を観終えていました。作中、ラスト以外は顔をほとんど見せない役柄にもかかわらず、彼の醸し出すカエル男のオーラは格別であり、その俳優魂にはうなるものがありました。

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    シネ丸 (水曜日, 18 1月 2017 10:11)

    映画前半はテンポよくミステリアスな展開に引き込まれていきますが,先生がおっしゃるように矛盾を感じながらの後半は刑事と犯人のやりとりが平凡に感じられました。
    妻夫木くんの熱演(「怒り」でも頑張ってました!)は素晴らしいものであっただけに,
    なにか物足りない修行でした。