キングコング 髑髏島の巨神

本作をGWの余韻冷めやらぬ月曜日の夜更けに修行してきました。わたしが生まれる前からゴジラとともに巨大なスターであるキングコングのリメイクものです。

 

思えば、わたしが保育園のころ昼寝の時間というのがあったのですが、そのときわたしの小さきからだをくるんでいたタオルケットに書かれていた絵がなんとキングコングと橋(たぶんマンハッタンブリッジ?)の絵だったことが5歳の記憶に残っているので、懐かしい迎合です。

 

昨年は日本でも「シン・ゴジラ」が制作され、アメリカでは「ジュラシックワールド」が制作され、巨大生物ものは時代の要請のようにその制作が続いています。これは閉塞し停滞し先が見えなくなりつつある時代の空気を一気に打ち抜いてくれる巨大な存在を人々が求めている兆候なのだ・・・なーんて、わたしなどは例によって妄想してしまっています(笑)。

 

さて本作はさすがアメリカン・エンタテイメント。観衆をじらすことなく物語のはじめからこれでもかというぐらい期待の巨神・キングコングが暴れまくります。わるーい巨大生物をちぎっては投げちぎっては投げという感じで、胸がすくぐらいの活躍が物語終盤までを覆い、キングコング好きにはたまりません。わたしも幼少期からキングコングにくるまれて育っているぐらいですから十分に堪能させてもらいました。SF巨人アクションものが好きな方ならはまること請け合いです。

 

個人的に少し興味深かったのは、本作でキングコングを取り巻く世界観です。これはジュラシックワールドでもいえることなのですが、本作の世界観のほとんどがあのシャーロックホームズ・シリーズで有名なコナン・ドイルの「ロストワールド」の焼き直しだと思われるのです。世界のどこかに人類から忘れられた陸の孤島もしくは台地があり、そこにはなんと想像を絶する生物たちが太古の昔から生息していたというあれです。

 

そこで思うのですが、そうであればいっそコナン・ドイル原作そのものの映像化を現代の素晴らしい技術をもってして制作してくれればこんなに素敵なことはないと思うのです。

 

意外に知られていないのですが、コナン・ドイルの冒険ものはいいですよ。小学校のときのわたしにとって、コナン・ドイルという作家はシャーロックホームズを産んだ探偵作家などではなく、チャレンジャー博士を産んだSF冒険作家でした。彼の筆で描かれた冒険のめくるめく世界は、子どもだったわたしのこころを毎晩のように冒険の山や海やジャングルにいざなってそれこそワクワクドキドキの想像の翼を与えてくれました。世界のどこかに人類に忘れられた世界があり、そこではいまも謎の巨大生物や恐竜が待っている・・・なんて毎晩のように想像していたころがつい昨日のようです。

 

わたしの密かな冒険的な性格と生活歴(あまり普段明かす機会はないのですが、結構冒険的ですよ)はコナン・ドイルが生んだチャレンジャー博士シリーズの影響ではないか?と思うほどです。もしコナン・ドイルの冒険物語を読んだことがなければ、いまも探せば出版されていますので、ぜひ読んでみてください。シャーロック・シリーズよりこちらのほうが個人的にはおすすめですよ。(ドイル自身もシャーロックホームズという人格はあまり好きではなく、彼をとっとと早く殺して、自らの興味の向くままに冒険ものや神秘ものばかりを描きたいのだ、なんて語っていたというエピソードもあります)

 

そんなわけで本作は、そんなわたしの幼き日に培った冒険心を刺激し、また久々わが冒険ごころの師匠コナン・ドイル(なんと彼はもともと医師でもあり、そういう意味では先輩でもあります)の産んだチャレンジャー博士に会いにこころの世界を旅しよう(現実の世界は仕事も忙しくなかなか物理的な冒険とはいきません)という気にさせてくれ、ありがたい一作になりました。