君の膵臓を食べたい

本作をクリニックのお盆休み直前の夏の夜にT-JOY東広島にて観てきました。

原作は昨年の本屋大賞第2位のベストセラー小説です。わたしは未読なので前情報まったくなしの鑑賞となりました。

 

さて本作ですが、主演の桜良(さくら)を演ずる浜辺美波さんが文句なくかわいく、死にゆく運命の下の儚く明るい彼女の笑顔だけで胸が締め付けられる作品です。

 

ただ物語的には北村匠海くん演ずる主人公の僕がありえないほど幸せすぎて、こんなことって実際にはありえないのでは?・・な~んておじさんとして当惑してしまいました。

 

だって、死の運命を背負っているとはいえ、こんなかわいい女の子に突然ある日を境に好かれまくり、さまざまなところに連れまわされて、あげくの果てにはふたりきりでホテルにお泊りまでさせてもらえる彼が、クラスではほとんど友達を持たない本だけが友達という孤独な、どちらかといえば暗めの男の子なのですから、まるで真夏の夜の夢のような話です。

 

そしてまたもや唐突な彼女の最後。病気で亡くなっていくと思わせておいて、この展開は意外を通り越して、偶然性が高すぎて物語の流れとしてはうーん?!そう来たの~?という感慨とともにあっけにとられた状態でのエンディングを迎えました。

ラストのエピソードもそれはそれで感動的なのですが、これもちょっと仕掛けすぎかな~という感慨をおじさんは持ってしまいそうです。

 

もっとも原作ではヒロインが僕に好意を寄せていく必然性がもう少ししっかり描きこまれている可能性があるわけで、物語に必然性や滑らかで自然な流れを想定してしまうわたしの感性が型にはまった窮屈なものであるともいえるかもしれず、うーーん、わたしなんかよりピュアでロマンチックな若い子らは本作をどう感じるのだろう?やはり悲しくて、せつない、青春時代のロストストーリーと感じるのかな~なんていろいろと妄想が膨らみました。それだけでも本作を観た甲斐があったことだけは間違いありません。

 

まあなんだかんだでいろいろ書きましたが、以前のブログでもお伝えしたように、こうした切なく哀しく美しい青春ものはわたしのストライクゾーンであり、物語の展開にぎこちなさや違和感を感じたものの、夏の夜の幻として本作はわたしのこころを十分に揺らせてくれたわけであり、感謝です。

これは確かに売れるわな・・なんて無粋な感慨とともに、汚れきったわたしのこころを少しだけ洗濯してもらったような感覚も得た、印象に残る作品となったことだけは間違いなさそうです。