奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

秋の気配が漂い始めた週明けの夜更けにT-Joy東広島にて本作を鑑賞してきました。

 

奥田民生さんはわたしにとっても同世代でかつ広島出身であり、わたしが通った広大医学部とは目と鼻の先にある皆実高校(この高校はなんと吉田拓郎さんも出ています。そういえばこの二人の醸す雰囲気は少し似てますね)卒業であり、憧れとかはないものの、肩の力を抜いて世の中のしがらみから適度に距離をとり素敵に生きているミュージシャンであり、常に身近に感じている存在であり、もう10年ほど前になりますが、広島市民球場解体直前のひとり股旅でのアコースティックライブにも永年の友人らと駆けつけたことが今となっては懐かしいです。

 

そんな彼にあこがれる若手編集者と出会う男をすべて狂わせる魅力的な女の子のドタバタ物語です。意外とミステリー仕立てになっており、劇中に流れる奥田さんの楽曲が小気味よくミュージカル的面もあり、久々大音響で聞く民生の歌声は痛快で本作のなかでいきいきと輝いて、民生ファンのわたしにとってはシアターの大画面で観れてよかったという作品となりました。

 

水原希子さん演じるガールはかなりの魔性系で、痛快かつミステリアスであり、妻夫木さん演じる可愛くて純朴な民生ボーイさえも、彼女にとっては単なる通過点というしたたかさと脆さ、妖しい輝きも感じさせ、精神医学的にはややボーダーチック(境界性パーソナリティ障害)なので、わたしなどは現実に彼女のような存在がいたらすぐに距離をとってしまいそうなガールなのですが、劇中ではくらくらする位魅力的でした。水原さんは「ノルウェイの森」でのみどり役の前向きで明るい感じもいいですが、本作でのように妖しく輝く魔性系のほうがはまっているかもしれませんね。

 

さすが「モテキ」でテンポ良い青春時代の訳の分からない情熱(まさにイージューライダーでした)とずっこけ、怒涛の勢いやほろ苦さをスクリーンに刻んだ大根仁監督、本作もスピード感あり、ロック感あり、ほろ苦さ満載の素敵な青春映画となっていました。

 

P.S. 奥田さんについては、その肩の抜け方とか、属する世界との距離感とか、広島への愛憎とか、唄や音楽への想いとか、実はその成育環境を中心にいろいろと精神分析的に考察できるのですが、これを始めると本ブログの数倍の長さとなってしまいますので、残念ながらここではしませんが、興味のある方はユニコーン時代のアルバム「ひげとボイン」(これは日本のロック十傑に入るアルバムではないでしょうか?)を聞かれたら、いろいろと考え想像させられること請け合いですよ。