マイ・ジェネレーション 

本作を1月の終わり、束の間の休日に広島市内のサロンシネマにて鑑賞してきました。

 

1960年代のロンドンを中心にし、爆発するがごとくに当時革新的な若者文化を形成していったスウィンギン・ロンドンをドキュメンタリー風に当時の映像と当事者たちのインタビューを交えて再構成し、描写した作品です。わたしも当然この時代発祥のビートルズに小学生時分からがつんと衝撃を受け、その後の人生にも影響を与えてもらったことは間違いなく、そんな素晴らしくきらめいた時代の映像的遺産として、楽しく堪能させてもらいました。

 

タイトルはTHE WHOの楽曲からとられているのですが、最初の挿入歌はやはりキンクスであり、この時代のロンドンの雰囲気をもっとも伝えるのはキンクスの楽曲群であると日頃から思っているわたしとしてはにんまりと笑みがこぼれる冒頭を皮切りに、徐々にその色彩豊かで弾けるようなポップな文化が60年代終焉に近づくにつれて、LSDや大麻などのドラッグの渦とともに急速に収束していく様を実際の映像と当事者たちのコメントを通して活写されてしました。今は大御所や伝説になってしまった、ポールやジョン、ロジャーやミックらが若く生意気盛りの表情で当時の文化にコメントしているのもほほえましかったです。

 

しかし、わたしのような偏狂的にこの時代が好きな人間には十分満足できる作品でしたが、すべての人におすすめという作品ではありませんでした。

 

それでも本作の美点はやはり60年代が生んだ、魅力に満ち溢れたキャラクターたちが実際の映像と音声を通して銀幕のなかで立ち振る舞い、語り、歌い踊っている姿が映画として掘り起こされ、映画館の一観客として大きな画面と音声を浴びながら追体験できたことだと思います。

 

ところで実のところ、素晴らしき60年代にはまだまだ眠っている映像作品が宝の山のようにあります。たとえば、ビートルズの傑作伝記作品「Complete Beatles」やディランの「Eat The Document」、あの誰もが知る有名な「Let It Be」でさえも映像的にはお蔵入りになっている状況なのです。本作を観て、そうした埋もれてしまっている作品を映画館の大画面という銀幕で追体験したいと思ってしまったのはわたしだけでしょうか? かなわぬ夢かもしれませんが、そうした20世紀の宝石のような映像作品をいつか映画館という大きな箱で体験してみたい・・・そんなことを夢想してしまった作品でした。