女王陛下のお気に入り

本作を久々広島市内にての講演参加のため遠征し、久々「八丁座」にて修行してきました。

 

18世紀初頭のアン女王の統治するイングランドの宮廷を舞台にした、女と女の闘争物語です。フィクションでしょうが、当時フランスと戦争しながら、国を取り仕切っていたアン女王の実際の姿を想像することができ、歴史好きにはとても興味深い作品です。

 

本作の見どころはなんといってもその宮廷という女の戦いの舞台そのものでありました。まだ電燈もない時代の宮廷は夜になると蝋燭の光のみで文字通り真っ暗になり、昼でさえも太陽光線が十分に届かない宮廷内は光の陰影が明確であり、そこで蠢く人々の営みの表と裏を削り取りながらの宮廷絵巻は思いのほか美しくうっとりするほどでした。

 

本作の美しい映像をしっとりとほのかに感じながら、我々は文明の進化の過程で電気という便利なものを得た代償として、太陽の織り成す光と影の彫刻のような美しい世界を失ってしまったのだということを改めて認識させられながら、ついでに立ち寄った丸善広島店(現在広島最大規模で気になる本が手に取って見れる素晴らしい本屋です)の森のような本の山のなかでまばゆいばかりの蛍光灯の光を浴びながら、気になる本をいくつか立ち読みした後に東広島への帰路につきました。