キングダム

本作を封切間近の月曜日の夜に、T-Joy東広島にて鑑賞してきました。期待の大作だけに、当然大型スクリーンを擁する1番シアターでの鑑賞になりました。

 

本作の原作漫画はすでに50巻を超え現在も進行中ですが、さすがに以前から評判の作品だけに、昔に比べて漫画にだいぶ疎くなったわたしでさえしっかり全巻チェックしており、当然キングダムファンとして楽しみな夜となりました。

 

観てみると、映画では原作のだいたい1巻から6巻までを実写で表現しており、原作のスケールの大きな大地や風景も十分表現されており、これらを大画面でしっかり堪能できる展開となっている一方で、ストーリー的には映画ならではの設定はほぼなく、かなり原作に忠実で豪快さと几帳面さを兼ね備える出来栄えと感じました。

 

こうした原作付きの際には楽しみな配役についても主役の信、政、楊端和など主力の面々はよく原作の雰囲気を踏襲しており、ほぼ完璧と言いたいところですが、王毅将軍の大沢たかおだけが???という感じではあります。なんていっても王毅将軍は人が見上げるほどの大男なのに、どちらかというと背が低く華奢な大沢さんでは、いくらメイクをしっかりやってもどうしても違和感が残らざるを得ませんでした。大柄でいかつい顔をもつ鹿賀丈史さんあたりがはまり役だったのでは?なんと思いながらも、まあそこまで期待するのは贅沢と言えるかもしれません。

 

もし映画に続編があれば、趙の悲劇の天才将軍・李朴を誰が演ずるのかも楽しみです。

 

それにしても中国の春秋戦国時代を史記を中心とした古代中国文献から、こんなに深くて人間味のある豊かな物語に変換し、表現した原作者の原泰久さんには畏敬の念を感じざるを得ません。歴史好きなわたしも10代のころ、横山光輝版「史記」「三国志」などを読破し、春秋戦国時代については、基本的なストーリーは知っていたつもりでしたが、原典をさらに読み説き、深遠ささえ感じる戦国ドラマに仕立てあげたその才覚は素晴らしく、もう拍手しかありません。

 

もし始皇帝の覇業とその最期まで描くとすれば、50巻越えの原作でもまだ序盤であり、200巻ぐらいかかりそうな感じがしますが、原泰久さんにはぜひ最後の秦滅亡までを描き切ってほしいものです。