ぐらんぶる

本作を少しずつ人々の活動も戻りつつある8月に入った夏の暑い夜にひっそり修行してきました。

 

あのジャック・マイヨールをモデルにした素潜り野郎たちを活写したリュック・ベッソンによる名作「グランブルー」(わたしにとっても生涯の映画5傑のひとつです)を不遜にもひらがなに変更しタイトルとしているので、当然潜りものなんだろうという予測はついていたものの、残念ながら原作漫画も読んでおらず、ほぼ先入観なしの体験となりました。

 

なぜか船でしかたどり着けない離れ島に存在する大学。場所のイメージとしては、伊豆大島辺りというところでしょうか?そこに楽しいキャンパスライフを夢見て上陸した少年が裸一貫?楽しく激しくしょっぱいサークル生活にのめりこんでいく、めくるめく世界を涙あり、笑いあり、裸(男ばかりです)ありで、大画面いっぱいにおかしく楽しく描かれています。

 

思い起こせばこんなおっさんになったわたしにも18のころ青白い大学新入生の時期があり、当時入学したばかりの右も左もわからぬキャンパスにおいて、激しく魅惑的な大学サークル勧誘活動を受けていました。もう時効でしょうが、未成年なのにそうした勧誘を通して大酒飲んだことなども思い出したりしました。なかには、サークル活動と思わせて学生運動や宗教団体の勧誘なども当時は多く、おぼこく、うぶ毛もまだ残っていたようなわたし(いまやすっかりこすれまくり、産毛の跡は剛毛にとってかわられていますが)にとっては、毎日が危険でありながらドキドキもしながらキラキラ輝いていた時間でもありました。本作を通してそうした大学時代のサークルの過激さ、恍惚さ、不安感など思い出し、とても懐かしく感じ、観ながら思わず笑顔が出てくるような作品で楽しい時間を過ごさせてもらいました。

 

本作を観て久々思い出したことですが、やはり明日のことや将来のことなど一切考えずに思い切りバカやれる時間や場所って大事です。わたしにもささやかながらそうした時間が少しはあったような気がします。社会から大学というバリアで隔絶されながら、将来の不安や喧噪、束縛からも猶予され守られていたやわらかでいま思えば夢のような時間でした。そしてそれらの体験と記憶があるから、その後の窮屈な?人生を歩いて行けているとも言えるような気さえします。本作はそんなことを画面いっぱいに楽しくおかしく裸のまま主張していました。

 

そういえば、わたしも一応 Cカード(ダイビングライセンスのことです)を持っているダイバー(潜りはすっかりご無沙汰しており、いまやおかダイバーですが)です。そんなわたしにして「あ~ひさびさ沖縄の海あたりに潜りたいな~」なんて自然に考える、軽快かつ積極的な作品で、こんなご時世のなか、なんだか前向きな気持ちをもらいました。