燃えよ剣

本作をいよいよ寒さを感じ始めた秋の夜に、T-Joy東広島にて鑑賞してきました。幕末の激動の真っただ中にたった6年間存在して消滅していった新選組の副長土方歳三を中心に同じ郷里出身の近藤勇、沖田総司らの運命と生きざまを描いた司馬遼太郎原作の映画化作品です。

 

歴史好きを自認するわたしとしても見逃すわけにはいかない本作でしたが、大満足の作品となりました。「関ケ原」「日本のいちばん長い日」といった大作を成功させ、日本に関する歴史作品を撮らせたら日本一であろう原田真人監督。彼の表現する歴史観、映像美学も所々に覗くこともでき、歴史好きにはたまらない娯楽大作になっており、歴史に興味のある人もない人にも十分に楽しめる作品になっていると思われます。

 

原作に少しあった、男と男の友情を越えた男色的?世界はほぼ封印し、彼らの剣にかける情熱、漢気を美しく健気に表現している切り取り方もこれはこれでありだと思われました。その一方で、実際の土方歳三には、隊を守るためにでしょうが、非情なまでの残酷さがあったと推測され、その辺は今回はまあなしで行こうという印象を受けました。

 

これからも新選組をモチーフにした幕末ものは数多く撮られるのでしょうが、どの監督も意識せざるを得ない標準器といえる作品に本作はなったような気がします。本作をコロナの流行るこうした時期にリアルに鑑賞できたことはおそらくこの先強い記憶となって残っていくという印象を持ちました。