開院9周年を迎えて

本年4月8日、桜が咲き誇る季節に四季のこころクリニックは無事9周年を迎えました。東広島やその周辺の身近な方々にお役に立てれるようにとの想いと決意の下2年の準備を経て、9年前の平成25年に開院した当クリニックですが、この間本当にいろいろありましたが、おおむね幸せで順風満帆な航路を辿らせていただいたように思います。

 

当初想定していたように、さまざまなストレスが満ち溢れている社会のなかで、こころが疲弊した方々が思いのほか多いと感じた9年間でした。

 

そうした方々の話を詳細に聞かせてもらったうえで、もしこころの病であれば、医療的介入としての精神療法(ストレスに対する捉え方の工夫や対人関係上の思考法の補助や生活上のアドバイスなど)や必要最低限度の薬物療法を施行してきました。

 

一方で、こころの病ではなく、さまざまなストレスの結果の必然的な反応であれば、診察した上でこころの病ではない旨を説明し、安易な薬物療法などの無為無駄な医療的介入はあえてせず、生活上のアドバイスに留めてきました。

 

もちろんそうきれいさっぱりと両者の区別が判明しないケースも多く、そうした際はその旨をお伝えしたうえで、薬物療法や精神療法を試行し、効果があれば果報であり、残念ながら効果がないようなら、それ以上の無理無駄な漫然たる医療的介入を避けるよう努めてきました。

 

そうした日々の営みのなかで、ここ最近感じるのは、結構、気持ちの沈みや抑うつ感、不安感、焦燥感が顕著に出ていて一見うつ病に見える方でも、実は単なるストレス反応性のうつ状態(これは病でなく、誰もが冴えない事件が降りかかったときに起こるこころの必然的な反応)で、環境調整(会社がストレスであれば辞めてしまうのもそのひとつですが、そう簡単には辞めれないケースも多いです)やちょっとした対人関係の捉え方やものごとの考え方の方向性の転換などで、症状が霧消してしまうことがしばしばあることです。こうした方に安易に薬物療法を導入してしまうと、副作用ばかりで効果はひとつもなく、その結果、患者さん自身にも迷惑かけてしまうということになり、そうならないようにと初診の際は今も緊張と集中力を激しく要します。

 

要は、表面上は同じ症状が出ていても、こころや脳の病なのか、単なるストレス反応なのかを見極めることが常に重要であり、これが意外と難しく、わたしも日々の臨床のなかで、その見極めの精度を高めていくことを心掛けているのですが、その道は深くこれでもう完璧という手ごたえはなく、決まりきった公式というものもなく、五里霧中であり、今日も明日も日々真剣勝負が続きます。

 

人のこころは時代とともに遷り変り、時代は人を嘲笑うかのように、螺旋階段のように確実に進んでいくのですから、この人のこころを診療するということの追求や探求に終わりはなく、これからもこの営みは必須であり、こころの医者を続ける限り永遠に続くわけです。

 

しかしそうした人のこころを探求したかったからこそ、この道に進んだのであり、本望なことであり、上記の悪戦苦闘を経て少しは人のこころの仕組みや動きを理解し解明できたことも積み重なりつつあります。そうして積み重ねた糧をクリニックを訪れてくれる方々と共有し、こころを成長させながら、地域や社会に根差し、自己を確立しつつ、ともに進めたらこんな幸せなことはありません。

 

さらに優しく思いやりのあるスタッフ(開院時のスターティングスタッフ5人のうち4人が今もクリニックでともに働けているのは望外の慶びです)に囲まれて毎日この営みをしていけることは本当にありがたいことです。

 

徒然に10年目を迎える心境を綴ってみましたが、クリニック10年目、これからの道も初心を忘れず、親切に誠実に明るく診療していく所存です。今後ともよろしくお願いいたします。

 

P.S. いつも節目の時期に心遣いをしてくださっている友にもこの場を借りてお礼を言わせてください。離れていても魂の仲良しとして今後も歩いていきましょう。