本作を桜がもうすぐ咲き始めそうな休診日に地元のT-Joy東広島にて鑑賞してきました。
主演の北村匠くんの虚ろな目のポスターがととも印象的でしたが、物語の展開は虚ろどころか、日本じゅうどこでも似たようなことはありそうなリアルストーリーであり、さまざまな罠にはまっていく主人公の焦りとともに観る者のこころも鷲づかみにするようなリアルでドキドキする作品でした。
本作の魅力は役者さんらの生き生きとした迫真の演技ではないでしょうか? 主演の北村匠くんは言うに及ばず、相手役の河合優美さん、脇ながらラストに意外なキーマンとなる伊藤万理華さん、人間のクズのオーラを纏った竹原ピストルさん、どこにでもいそうな軽薄イケメンキャラながら女性にはモテる毎熊克哉さんらすべてのキャラが強烈に立っており、暗闇のなか、「うん、うん、こんなひといるよね~」との感慨(ほんとはいないのですが・・)を観ながら、彼らの熱のこもった競演を思い切り楽しませてもらいました。
そして物語も登場人物も行き詰まった挙句の果て、ラストのカタストロフィ的展開。とてもカタルシス効果のあるわくわくドキドキするシーンであり、個人的にはこの展開は好みです。 あえて言えば、お隣の国の数年前のアカデミー賞作品にインスパイアされてはいるのですが、まあそれはご愛敬ということで・・・。
いずれにせよ本作は、映画ならではのハラハラドキドキ、それでいてこの社会の本質的問題について否応なしに思い巡らさせられる素敵な作品になっており、映画の醍醐味を再確認させてもらい見逃さなくてよかった~と思わされる作品でした。
P.S.かつての「悪い人」もそうでしたが、「悪」の字が題目に入った作品というのは味のある作品が多いですよね。