本作をT-Joy東広島にて鑑賞してきました。 かつて広島市内にあったシネツイン( かつて本通りの一本北筋の地下に存在した映画館なのですが、現在は廃館しています )にてアニメ版を体験してからはや18年たっています。時の過ぎ去るのはなんと早いのか・・と今更ながらに感じながらの体験になりました。
思い起こせば、まだ新海誠という名前さえ馴染みのない時代になぜ本作のアニメ版を観ることになったか、今となっては思い出せないのですが、アニメ自体好きなことに加えて、当時は勤務医という立場もあり時間の融通もまずまずでき、かなり頻繁( 年間50本~80本ほどですが、休日に広島市内にひとり出向き一日3-4本をはしごするような観方でした )に映画館に足を運んでいたので、たんなるそのなかの偶然だったのかもしれません。 アニメ版を観た時の印象は風景の描写がとても写実的でリアル( これは後に「君の名は」で大ブレークすることになりました )であり、こうしたアニメもありなんだな・・と感じると同時に、最初から最後まで物語全体が重たげな諦念で覆いつくされており、主人公が大人になってからの社会のなかでもみ込まれていく末のこころの砂漠感と小学生時代からの初恋の相手との成就しなかった愛の行方に未来がなさ過ぎて、逆にこころに突き刺さり18年間こころのどこかにあった作品でした。 実は同様な感想を新海監督自身も複数のファンから寄せられたようで、それらに対する答えとして、自ら小説化や漫画化に踏み切り、暗い想いだけではなく、未来も含めた共感を込めた作品であるということをそれらを通して表現していたということを最近知りました。
そこで本作の実写化であり、おそらく小説などで込めた明るい想いも表現されているだろう・・という期待をもっての鑑賞となりました。
アニメ版1時間の2倍の尺をとった2時間作品でしたが、案の定素晴らしい追加エピソードに溢れる作品となっていました。 何より主人公・貴樹が大人になってからの社会人としての活躍とそこでの恋愛がしっかり描かれており、アニメ版での不全感がずいぶんと満たされました。仕事にしてもアニメ版ではSEとして社会に埋もれていく影を感じさせましたが、本作においては、しっかり幼少期の夢を実現させています。 また明里との関係においても約束の場所での再会が果たせないという点ではアニメ版と同じであったものの、貴樹にとっても明里にとっても前向きな選択であったということが十分示唆されていました。
また明里が貴樹とは別の男性と結婚して向かっていく先が、プラネタリウムや宇宙観測の歴史的聖地であるメルボルンというのも意味深で、もしや将来にプラネタリウムに勤める貴樹との再会があるのでは・・という希望をひとりの観客として持ちました。 他にもさまざまな隠された仕掛けが満載の本作ですが、これぐらいにしておきます。
本作は単体としても面白いのですが、まず60分のアニメ版を観られてから体験するとさらに深く物語を味わうことができるように思われ、おすすめします。
いずれにせよいつまでもこころの深いところに佇むことになる素敵な作品でした。 新海誠&奥山由之監督・・ありがとうございました。