マイケル

 

7月に入った梅雨に終わりの休日に本作「マイケル」を観てきました。

 

あのマイケルジャクソンのバイオグラフィ映画です。 正直軽い気持ちで観に行ったのですが、素晴らしすぎてびっくりした作品となりました。アメリカでは「アバター」を越える史上最大クラスの大ヒットとなっているとのことですが、日本ではプロモーションがあまりないせいか、さほど話題になっていない印象があり、この文章を読まれた方には今からでもぜひ観に行っていただきたい作品です。

 

「マイケル」・・1980年代を生きていた人類にとっては、音楽好きであろうがなかろうが、その名、その音楽を聞かないことがなかった特別な存在です。 ちなみにわたしも1982年の名盤「スリラー」辺りからはほぼリアルタイムで聴いてきたと言いたいところですが、当時黒人アーティストでライバルとされていたプリンスほどは熱心に聴いてはおらず、聴いたというよりは体験したという方が正確かもしれません。 

 

本作を観れたおかげで、マイケルジャクソンは当時からセールス面で、驚愕的メガヒットばかりであり、巨大さに目がくらみその実像を完全に見誤っていたことに気づきました。

 

まずあの声です。ジャクソン5時代からリードボーカルとして唄うために生まれてきたような印象的な声。とにかく耳に残るシャウト、バラードでの繊細なフェザーのような囁き声は訓練だけではできない天性のものであり、映画館の大音響で体験することによって今更ながらに特別なものであることを思い知らされました。 個人的に特別な声として崇拝・愛聴しているボーカルはダイアナロス、松田聖子がいるのですが、マイケルもこの列に余裕で加わることにやっと気づきました。

 

そしてダンス。 鋭いながらもポップで小気味よいダンス、印象的なムーンウォークだけでなく、彼の切れの良い観ていて気持ちよくなるダンスは現代でも匹敵するミュージシャン(ダンス専門のひとは除外)はいまもって出ていないように思われます。

 

さらに作曲。アルバム「スリラー」はいまもって地球で一番売れた音楽アルバムだそうですが、確かにそのなかの曲は今聴いてもどれも輝いており、なぜもっと当時これらの素晴らしさを素直に受け止めれなかったのだろう?と今さらながらに思います。 「スリラー」に続く「BAD」も街中やカーステレオで流れているのを当時なんとなく聞いていたものの、作品としてしっかり傾聴することなく過ぎました。その後のアルバムもしかりです。もちろんその間の「We Are The World」「Heal The World」も単体の曲として人類の歴史に残る美しいメロディを表現しているのに、なんとなく時流のなかで、「マイケルならこれぐらいの曲を作って当然」と軽く考えていたりしました。おおいに反省しているところです。

 

そんなマイケルの幼少時から「BAD」ツアーまで、ほぼ芸能生活の前半20年を表現したのが本作となりますが、彼のライフストーリーについてもいろいろと思うところがあるのですが、それを綴りだすとエンドレスになりそうなので、ひとつだけ書かせてください。 

 

マイケルは家族(主に父親)の思惑で、小学校にもほとんど通わずに幼少時から芸能活動に入り、その才能とともに学習能力も備えていたため、通常に育ったひとでは決して届かないポップの高みに20歳そこそこで辿り着いだマイケル。 それと引き換えに同世代の友を持てなかったため、動物(バブルスくんやキリンくん・・)をこころの友にするという純粋かつ奇特な内面を持つようになり、それに伴うさまざまな奇妙で残念な事件が起こったものの、いまだにポップの領域で彼ほど高みに到達した存在はおらず、マイケルジャクソンは結果的に白人や黒人という概念さえも越えた壮大なアメリカンサクセスストーリーを最高の形で体現した存在に至ったように思いました。

 

いろいろ書きましたが、要するに「マイケルジャクソンという存在はその実験的な人生を通して、稀有な歌声・ダンスパフォーマンス・美しくポップな作曲能力を兼ね備えた、われわれ人類へのギフトであった」ということです。わたしも本作を観て以来、サブスクリプションの音楽を通してマイケル三昧であることは言うまでもありません。 

 

もちろんさまざまなエピソードの欠落( USA For Africaやマイケルの恋愛とか )はあり、不満を言えばキリがないのですが、マイケルの巨大かつ複雑な人生を一部とは言え、その作品たちの素晴らしさがわかるように映画として表現してくださった制作陣には大感謝です。 続編を切に期待したいところです。

 

みなさんも是非とも本作「マイケル」を大画面・大音響で劇場で体験してみてください。素敵な体験となること間違いなしです。